近年、企業や政府機関を狙ったサイバー攻撃が急増し、情報漏洩や業務停止などの被害が深刻化しています。特に2025年には、金融機関や教育機関を標的とした大規模な攻撃が報告され、社会全体でサイバーセキュリティの重要性が再認識されています。このような背景から、サイバー防衛に関連する企業の株式が注目を集めています。本記事では、最新のニュースや市場動向をもとに、2025年に注目すべきサイバー防衛関連株を5銘柄厳選し、それぞれの特徴や投資ポイントを解説します。

サイバー防衛関連株とは?
近年、私たちの生活やビジネスの多くがインターネットを介して行われるようになったことで、「サイバー防衛」の重要性が飛躍的に高まっています。企業の機密情報、金融機関の資金、さらには国家機密までもがネット上でやり取りされる時代に突入し、サイバー攻撃の脅威は日々巧妙化。こうしたリスクに対応するために、サイバーセキュリティ分野への投資や開発が世界中で加速しています。
サイバー防衛株=“サイバー攻撃を防ぐ企業への投資”
サイバー防衛関連株とは、サイバー攻撃から情報資産を守るための技術やサービスを提供する企業の株式を指します。たとえば、ウイルス対策ソフトを開発する企業、AIを活用した不正アクセス検知システムを提供する企業、クラウドベースのセキュリティ管理サービスを展開する企業などがこれに該当します。
これらの企業は、主に以下の分野で事業を展開しています:
- エンドポイントセキュリティ(PCやスマホの防御)
- ネットワークセキュリティ(通信の監視・制御)
- クラウドセキュリティ(AWSやAzureなどの保護)
- サイバー攻撃の早期検知・分析
- セキュリティ人材育成・教育
国の支援と法整備で追い風に
特に日本では、政府が「経済安全保障」の観点からサイバー防衛への支援を強化しており、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を中心に、公共・民間の連携体制が進んでいます。2025年は防衛省がサイバー防衛予算を前年比約20%増とし、関連企業への注目がさらに集まっています。
また、サイバー攻撃による損害賠償リスクの増加により、多くの企業がセキュリティ投資を急務とし、防衛分野以外でも導入が進んでいます。こうした状況は、サイバー防衛関連株にとって大きな追い風となっています。
投資対象としての魅力
サイバー防衛関連株は、今後の社会インフラとも言えるセキュリティ技術を担う分野であり、景気の変動に左右されにくい「ディフェンシブ銘柄」としても位置付けられます。また、国際的なハッカー集団の動きや地政学リスクが高まるたびに、関連株の注目度が急上昇するという特性もあり、短期的にも中長期的にも投資妙味の高い領域です。
注目のサイバー防衛関連株5選(2025年最新版)
サイバー攻撃の巧妙化と頻発に伴い、サイバーセキュリティ市場は急速に拡大しています。防衛・インフラから金融・教育まで幅広い分野で導入が進むなか、セキュリティ技術に特化した企業や、防衛省と連携する企業の株価にも注目が集まっています。
ここでは、今後の成長が期待される“注目のサイバー防衛関連株”を厳選して5社ご紹介します(2025年5月時点の情報に基づき記載)。
① サイバートラスト(4498)
セキュリティ認証のリーディングカンパニー
サイバートラストは、電子証明書の発行やIoT機器向けの認証基盤など、デジタル認証分野で高い信頼性を誇ります。防衛省や自治体向けの案件も多く、政府系の大型契約が収益の柱に。ゼロトラストやセキュアブートなどの注目技術も手がけており、堅実な成長を続けています。
- 株価:3,900円前後(2025年5月時点)
- 時価総額:約300億円
- ポイント:官公庁案件に強み、安定したセキュリティ需要に支えられる
② セグエグループ(3968)
ネットワークセキュリティと運用支援で注目
セグエグループは、中小企業を中心にセキュリティシステムの導入支援やITインフラ構築を行う企業です。近年はクラウドセキュリティやSOC(セキュリティ運用センター)事業にも力を入れており、サブスクリプション収益の拡大も見込まれています。
- 株価:1,000円台(2025年5月時点)
- 時価総額:約140億円
- ポイント:クラウド&中小企業向けセキュリティで安定した需要を取り込む
③ ソリトンシステムズ(3040)
老舗のセキュリティベンダー、ゼロトラスト注力
ソリトンは、エンドポイント管理や認証システムに強みを持つセキュリティの老舗企業。ゼロトラストモデルの導入支援や、リモートワーク普及に合わせたソリューションも提供しており、近年はDXや教育市場にも展開。安定配当も魅力のひとつです。
- 株価:1,400円前後(2025年5月時点)
- 時価総額:約170億円
- ポイント:配当+セキュリティという堅実な投資先
④ ネクストジェン(3842)
AIを活用したセキュリティ通話監視で急成長中
ネクストジェンは、IP電話や音声認識など通信インフラ関連技術に強みを持つ企業。近年はAIを使った通話監視・分析ソリューションが注目されており、特殊詐欺対策や企業の通話管理にも採用が進んでいます。
- 株価:900円台(2025年5月時点)
- 時価総額:約80億円
- ポイント:AI×セキュリティという新分野の成長期待
⑤ テリロジーホールディングス(5133)
セキュリティ製品の輸入販売+自社ソリューションを展開
テリロジーHDは、海外製の高度なセキュリティ製品の導入支援や、自社開発の通信監視ソリューションも展開。近年は、サイバー攻撃対策だけでなく、暗号資産関連のセキュリティやOTセキュリティにも進出しています。
- 株価:500円台(2025年5月時点)
- 時価総額:約60億円
- ポイント:海外技術×国内支援のハイブリッド型
これら5銘柄は、いずれも「防衛・サイバー対策」「ITセキュリティ」「ゼロトラスト」「生成AI時代の新たな脅威」に対応できるポテンシャルを秘めており、今後も注目が集まると見られています。

なぜ今サイバー防衛株が注目されているのか?
2025年に入り、サイバー防衛関連株が株式市場で改めて脚光を浴びています。その背景には、国家レベルの緊張やサイバー攻撃の激化、そしてAI技術の進化によって複雑化する“新たな脅威”の存在があります。
国防レベルのサイバー戦争が現実に
近年では、ウクライナ情勢や中東、アジア圏における地政学リスクが高まっており、軍事衝突に先行して「サイバー攻撃」が行われるケースが増加しています。国家間のサイバー戦争はもはやフィクションではなく、日本でも防衛省が「サイバー防衛隊」の人員増強やAI導入などを加速。これに伴って、防衛予算の一部が民間のセキュリティ企業にも流れる構図が生まれています。
AIの普及がもたらす“新たな脅威”
ChatGPTなど生成AIの一般化により、サイバー犯罪の手口も急速に高度化しています。フィッシング詐欺や不正アクセスは巧妙化し、個人・企業問わずあらゆる層が標的となっています。とくに中小企業や地方自治体など、セキュリティ体制が脆弱な組織にとっては深刻なリスクです。
こうした中で、AIを活用した次世代のセキュリティ技術を開発・提供している企業は、社会的にも経済的にも重要な役割を担うようになっています。
政府の予算と政策が後押し
日本政府は、2024年から5年間でサイバーセキュリティに関する国家予算を段階的に拡大する計画を発表しました。さらに、経済安全保障をテーマとした「重要インフラ保護法案」が進展しており、民間企業にもサイバー対策の強化が義務付けられるような流れになっています。
このように、地政学的リスク×AI進化×政策支援という三拍子が揃った今、サイバー防衛関連株は“単なるテーマ株”ではなく“実需をともなう成長株”として見直されているのです。

今後の成長が期待される分野と将来性
サイバー防衛は、単に「ハッキング対策」にとどまらず、AI・クラウド・IoTといった最先端技術と密接に関わる分野です。2025年以降も、サイバー防衛関連市場は以下の3つの分野で大きな成長が期待されています。
① 官民連携による防衛産業の拡大
日本国内では、国防分野と民間技術の連携が進んでおり、防衛装備庁や防衛省からの案件がセキュリティ企業に流れるケースも増えています。特に、NEC や 富士通 などは防衛装備に関するプロジェクトにも参画しており、「防衛×IT」での需要増が期待されます。
また、政府主導でのセキュリティ人材育成プロジェクト(例:サイバー人材100万人育成計画)も進行しており、企業側の対応も急務です。これにより、関連サービスの需要は長期的に底堅いものとなるでしょう。
② 生成AIとディープフェイク対策
2025年現在、AI技術は急速に進化しており、特に「ディープフェイク」に代表される偽情報の拡散リスクは、社会に大きな混乱をもたらす可能性があります。企業や政府は、AIによる脅威に対抗するためのAIベースのサイバー防衛技術への投資を強化しています。
この領域では、AIセキュリティソリューションを提供するスタートアップ企業や、大学発ベンチャーにも注目が集まっており、次世代の「テンバガー候補株」としての期待も高まっています。
③ インフラ・スマートシティのセキュリティ強化
都市のスマート化に伴い、交通網や電力、水道といった社会インフラもデジタル化が進んでいます。しかし、それに比例して「サイバー攻撃の対象」になるリスクも拡大。
スマートグリッドや交通制御システムのセキュリティ確保は今後の大きなテーマとなるため、社会インフラ向けサイバー防衛技術を持つ企業の成長性は非常に高いといえます。
サイバー防衛は今後の日本社会を支える“インフラ産業”ともいえる領域であり、その成長性は長期的に継続する可能性が高いといえます。

まとめ:いま注目すべきサイバー防衛株の投資戦略
2025年現在、サイバー防衛は国家安全保障、企業の信頼性、そして個人の生活に直結する最重要分野のひとつとなっています。AIやクラウドの発展により、サイバー攻撃の高度化・巧妙化が進む一方、それに対抗するためのセキュリティ市場は拡大を続けています。
これまでに紹介した以下のような注目企業は、いずれも日本のサイバー防衛の最前線を担っており、長期的な成長が見込まれる銘柄です。
銘柄名 | 証券コード | 主な強み | 株価水準(参考) |
---|---|---|---|
セグエグループ | 3968 | 情報インフラとセキュリティ統合 | 約1,000円台 |
ラック | 3857 | セキュリティ監視・運用の国内大手 | 約800〜900円 |
ネットワンシステムズ | 7518 | 官公庁・防衛関連に強み | 約1,500円台 |
ソリトンシステムズ | 3040 | 認証・暗号化技術に特化 | 約1,300円台 |
フーバーブレイン | 3927 | 次世代AIセキュリティへの注力 | 約400〜500円 |
投資戦略のポイント
- 中長期目線での分散投資が有効
市場テーマとしての成長余地は大きく、数年単位での成長を見越した長期保有戦略が基本です。 - テーマ型投資信託やETFとの併用も◎
個別株にリスクを感じる方は、国内外の「サイバーセキュリティETF」や「防衛関連ファンド」を併用することでリスク分散が可能です。 - 地政学リスクの高まりも材料に
国際情勢が不安定なときほど、防衛・セキュリティ関連株は見直されやすく、タイミングを見たエントリーが有効です。
最後に:将来性とリスクの両面を見極めて
サイバー防衛関連株は、成長分野である一方で、技術革新のスピードや国家政策の影響を受けやすい側面もあります。そのため、「情報収集」と「分散投資」のバランスが成功のカギになります。
投資初心者にとっても比較的わかりやすいテーマであり、将来の社会に直結する技術であることから、「社会貢献+資産形成」という観点でも魅力的な投資先といえるでしょう。

ここまで読んでいただいた読者様へサイバー防衛関連株の本命としておすすめの銘柄を1つ紹介します。
サイバーセキュリティクラウド(4493)|クラウド時代の本命サイバー防衛株
サイバーセキュリティクラウド(証券コード:4493)は、クラウド型WAF(Web Application Firewall)「攻撃遮断くん」や「WafCharm」などを提供する、日本を代表するサイバー防衛関連企業のひとつです。中小企業から大企業まで幅広く導入されており、AWSやMicrosoft Azureなど主要クラウドとの親和性が高いのが強みです。
✅ 注目ポイント
- **継続課金型ビジネスモデル(SaaS)**により安定収益が期待される
- 2025年4月に政府機関や自治体向けの導入実績が拡大
- 世界的なサイバー攻撃の激化により市場ニーズが拡大中
- 日本政府の「サイバーセキュリティ基本法」強化により公的機関との連携が加速
✅ 株価動向(2025年5月時点)
- 株価は2025年4月から5月にかけて急上昇傾向
- 出来高も増加し、個人投資家・機関投資家の注目度が上昇
- PBRやPERはやや割高水準ではあるものの、成長性を織り込んだ評価
✅ 投資家へのメッセージ
クラウドインフラの拡大とともに、セキュリティの重要性はますます高まっています。
同社の強みは、国内外のクラウドプラットフォームとの連携と、独自のAI検知技術です。今後、「官公庁+クラウド」の需要拡大が追い風となる可能性が高く、長期目線での投資対象として注目すべき銘柄です。